盆帰り
山形からローカル線を乗り継ぎ無人駅へ。
夏雲のそよぐ緑濃い田園風景を眺めながら、
いつ来るとも知れぬ電車をボケッと待つ。
片端だけのホームは他に人影もなく、
炎天の陽射とときおり稲穂がさざと波立つ。
仕方なくタバコに火をつける。
田舎に来るたび田舎はいいなと思う。
子供の頃こんな風景に暮らしていたら、
どんな成長をしたかなと思う。
嫌なこともたくさんあるのだろうが、
今なら難なくやり過ごせそう。
それは年年歳歳強まる。
ようやくやってきた二輌編制のワンマン電車に乗る。
日焼けした高校生が熱い息を吐いている。
ガタガタと最上川の鉄橋を抜けると、町が開けてくる。
♪君が着た花がすり 君が舞う花まつり
ひとときを故郷の ふところに遊ぶ
明日には村はなれ 汽車に乗り村わすれ
一年を忙しく過ごすのは何故
汽車に乗れば 故郷の手土産の一輪の
花の色 あせることを知りながら