2007-01-01から1年間の記事一覧

祭りのあと

♪情けない男で御免よ 愚にもつかない俺だけど 涙をふいて嗚呼 夜汽車に揺れながら 競馬はわからない。 有馬記念はマツリダゴッホだった。 単勝はとったが三連単には一頭足らなかった。 中山だけは走る、と穴馬に期待したが、 買った本人も「まさか」と絶句し…

常夏クリスマス

常夏の島にもクリスマスはやってくる。 子どもたちはカードを書いて、ギフトを買って、ツリーを立て、 コットンの雪で、冬の景色を飾り付けるのだとか。 日本でさんざん消化不良気味なクリスマス騒ぎを見せられているので、 一度くらいはそんな南の島で、 ほ…

生姜紅茶

♪夢を見ているのきっと すべては目覚めれば もとどおり 誰かの話す声 楽しそうね 早く一緒に遊びたいわ いますぐそっちへ行くから待ってて >>クラムボン ひさしぶりに風邪をひいてしまった。 薬と生姜紅茶を飲んでひたすら眠る。 むかしは風邪をひくと「気合…

おばさまについて

「これはあなたのために言っているのではなく、 みなさんのために言って差し上げているのです」 これは先日、私が仕事を終えて公園でタバコを燻らせていたとき、 とつぜん妙齢のおばさまから叱責されたせりふだ。 確かにそこは路上喫煙禁止区域で、吸ってい…

風の果て

風の果て、尚、足を知らず NHKで放送されている「風の果て」(原作:藤沢周平)は、 久しぶりに見ごたえのある時代劇である。 同じ道場に通う同期五人の辿る数奇な運命。 ある者は非業の死を遂げ、ある者は友を斬り運命を変えてしまう。 ある者は友と政敵同士に…

赤い蝋燭と人魚

上杉謙信ゆかりの上越高田へ馳せ参じる。 撮影の仕事のため関越・上越道をクルマで駆け抜け4時間。 折りしも風雪の心配もあったが、そんな心配は稀有であった。 山間のPAでジャパンカップをナビTV観戦も画像は乱れ、 ほぼ音声だけ。 なにがなんだか解か…

侘助

ただわびすけといふは冬の花 その昔、恵比寿界隈でバーと呼べるのは「ZANZIBAR」だけであった。 冬の夜、灯の消えた線路沿いにボツンと佇むその姿は、 侘助の紅い花に似ていないこともなかった。 怒号咆哮とびかう一杯飲み屋の並ぶ通りを抜けて、 仄暗いカウ…

ウオッカ回避

朝、目覚めればウオッカ回避の報。 宝塚、凱旋門、秋華賞。。。 何かひとつ狂いが生じると次々と箍が外れていく見本のよう。 前日、清水成駿が鮮やかなダービー勝利に触れ、 生涯に一度咲く竜舌蘭の花に例えていたが、 確かにそんな星の下に生まれた馬なのか…

青春の終わり

アンソニー・ホプキンスの「世界最速のインディアン」を観る。 ニュージーランドの小さな町で暮らす老人が長年の夢であった 米国ユタ州で行われる最速バイクレースに挑戦する。 全財産をかけ何の計画もなく"あこがれの地"へとただ向かう、 その一途さと逞し…

モノレールに乗って

モノレールに乗って、久々のトウィンクルにでかける。 目的はもちろん、JBCスプリントとクラッシックの2つのG1だ。 天気良好、思ったより寒くない。 しかし、両レースとも、あっけなく撃沈する。 JBCスプリントのフジウエーブは某仕掛け人より大穴警報が…

錆びたナイフ

「学びで大切なのは連続性です」と、教師は声を荒げた。 ならば競馬予想にも連続性は不可欠にちがいない。 「恋愛にはストーリーが必要よ」と、才女は気色ばんだ。 ならば競馬予想にもストーリーを用意しよう。 「結婚生活は妥協の産物です」と、先輩は平伏…

天才降臨

嫌な予感はあった。 土曜の2重賞は、両方とも押さえのワイドが当たってプラス収支。 しかし予想の軸がずれているのは明白だった。 G1馬七頭と豪華な顔ぶれが集まった天皇賞は、 メイシヨウサムソンとポップロック二頭軸三連単で挑むも玉砕。 軸馬は悩みに悩…

Non, je ne regrette rien

無明の夢も醒める。 時は神無月と勘ぐれば致し方なし。 たいらかな夕空に菊の花は紙のように舞いちり、 常勝と疑わぬ巨人軍はドームの海に沈没した。 虚しさは水密糖のように、 少しの甘さと密やかな抵抗を相伴い、 私の胸の奥にポツンと収まる。 ヨル酒場に…

ホワイトハンター、ブラックハート

映画撮影よりも象を狩ることに執着する監督。 「そんな犯罪はやめろ」という脚本家に、 「犯罪以上のものだ。だからこそ仕留めたくなる」と答える。 およそ人間にとって天使の羽音は退屈であり、 悪魔のささやきの方が数段魅力的だ。 そこにはもっと楽しいこ…

気分爽快

巨人優勝! その道程は長く果てしなかった。 思えば苦節五年、他チームファンから「ボケッ、巨人ファン!」「まだファン続けんの?」など、 容赦のないお言葉で罵倒される日々。 町を歩けばタイガースの野球帽をかぶった知性のないガキンチョから、 竹やりで…

それでいいの今は

♪ウイスキーが、お好きでしょ もうすこし しゃべりましょ ありふれた話しでしょ それでいいの今は 小雪がグラスを傾け、 バックに流れるは懐かしのさゆり嬢の名曲。 オジサンの心をつかむ確信的なCMだ。 年に一度サントリーの角瓶を買う。 男子たるもの、 …

風の盆

風の盆は、二百十日の初秋の風が吹くころ。 飛騨の山々が描く稜線から富山平野へとたどるその途中、 細く長く広がる坂の町、肩を寄せ合うように建つ家並み。 涼しげな揃いの朱い浴衣に、編笠の間から覗く横顔。 「このままでは伝えるより先に滅んでしまう」…

半島を出よ

村上龍の小説に幻のバーを探すというのがあって、 ぼくはそれがいちばん好きなのだが、 先日「半島を出よ」を読んでいたら、 それと似たバーが出てくる場面があった。 厳戒令の布かれた東京。 失望した官僚のひとりが赤坂のバーの扉を開く。 彼はそこに流れ…

骨太でごめんね

「あるいは裏切りという名の犬」という フレンチ・フィルム・ノワールを観る。 しかし。。。この日本タイトルはひどいね。 かつて親友だったふたりのパリ警視の運命の物語を、 元警察官のオリヴィエ・マルシャル監督が実話に基づき映画化した ハードボイルド…

チキンハート

ルービックキューブだらけの教室にYMOが響いてた夏 笹公人 ゴルフのパットで簡単なのは4〜5mで、 むずかしいのは1クラブほどの距離である。 距離があると思うから手は自然に解きはなたれ、 当たり前に入ると思うから手は震えてしまう。 まさに我がチ…

だらだら坂のぼって

荻窪さんちに行ったら、荻窪さんは留守で、 仕方なく吉祥寺さんちに行った。 想像していた通り、吉祥寺さんちはヒドイ有様だった。 玄関は脱ぎ捨てた靴やカバンや出し忘れたゴミ袋の山に埋もれていて、 中に入るだけで一苦労だった。 「やれやれ」 だから白…

夕されば 蛍よりけに 燃ゆれども 光見ねばや 人のつれなき 夏の夜の風物詩といえば、消えそで消えない幻想的なホタルの火。 だが、テレビを見てホタルの火にも変化があることを知った。 自然に生息するホタルの火は、ゆったりとしたリズムを刻むようにシンク…

ダルビッシュはいい子じゃない

雑誌「an・an」で一糸まとわぬ肉体美を披露した ダルビッシュが批判されている。 以前の喫煙騒ぎはもとより、 もともとダルビッシュはいい子なんかではなく、 いい子じゃないからこそ、今の活躍があるのだ。 プロスポーツに聖人などいらない。 あるのは…

夏に負けて、武幸に拾われる

僕はロシア小説を読むより、 むしろ下着を着てビールを飲みながらテレビで野球の試合を見るような人間なんだ。 by ウッディアレン 雨の中、ニューヨークの街角を走るタクシー、 ネオンライトの虹色をワイパーが消し去る。 あまりに美しいシーンに見とれた「…

LAUNDRY-GATEの想い出

♪見送る約束 寝すごした日には 古い滑走路に 夏草だけゆれてた 基地の町に住むということが、 基地の町が全世界だったあの頃の私には、 到底理解できるものではなかった。 ミッドウェイの巨大な影も羽振りの良い米兵も、 いつもの風景の一部に過ぎなかったの…

浮雲

仕事に追われる日々を過ごしていると、 他愛もなく人生は浮雲のようなものだと思い知らされる。 何かを目指して必死に泳いでるつもりでも、 結局は大空をプカプカと浮かぶ1個の雲でしかない。 ああ、小さくとも落雷の一撃を。 以前、恋愛映画の傑作と名高い…

夏の懺悔

やがて乾いた音がして陶器の骨壷のふたが閉められると、ぼくたちの夏休みが終わった。 夏の庭- 夏のローカル競馬は、格より調子。 上がり馬を追いかけているうちに夏は終わってしまうのだ。 夏を占うのは危険すぎる。 とっておきのシャツに染みをつけてしま…

everyhome

♪夢が醒めないことをきっと責め続けたのだろう まだ今は来ない列車を待つ 鬼束ちひろの復帰作『everyhome』をテレビで聴いた。 冒頭の歌詞は今の彼女の心境そのままだろう。 まだ歌うこと自体に脅えている様子で、 小さな子がピアノの前でレッスンを受けてい…

広島道中膝栗毛

明空より車中4時間。 日本の縮図と形容される広島の空は黄砂で白んでいた。 おまけに遮断された外気が湿度を便乗させている。 「最悪・・・」 早くも私は肩を落した。 そこからローカル線とモノレールを乗り継いで取材先へ向かうと、 炎天の空中庭園で童子が跳…

惚れた欲目

鮎の子の白魚送る別れ哉 芭蕉 惚れた欲目で見る月は青く、 クレーターも痘痕に笑窪。 現実を遠ざけてまで、 掴もうと努力するのは何故か。 さて、安田記念。 競馬の荒れる荒れないを見極めるのは難しい。 まして波乱続きの春のG1とくれば、 前者を選択する…