酔狂な彼女

hajimechan2008-02-21



失いしわれの乳房に似し丘あり冬は枯れたる花が飾らむ
>>中条ふみ子



チェルノブイリの跡地をバイクで疾走する、
ロシア乙女のHPを羨望の眼差しで見る。
彼女はガイガーカウンターの数値とにらめっこしながら、
死の町や森の写真を撮り続ける。


チェルノブイリの炉が煙硝する映像は、
私が生きてきた中で最も寂寥感の漂うイメージとして残っている。
「どうせ何をやってもダメなのだ」という気にさせるのだ。
今でもコンクリート漬けされた炉心には、
決して死ぬことのない悪魔が時限爆弾のように眠っている。


酔狂な彼女はそれを世界に届ける。
私はそれを受け取り、
世界の末端でひたすら困惑する。