青春の終わり
アンソニー・ホプキンスの「世界最速のインディアン」を観る。
ニュージーランドの小さな町で暮らす老人が長年の夢であった
米国ユタ州で行われる最速バイクレースに挑戦する。
全財産をかけ何の計画もなく"あこがれの地"へとただ向かう、
その一途さと逞しさが共感をよぶロードムービー。
"青春の終わり"はいつか。
たとえばそれは遅く起きた休日、
ディ・チェコのスパゲティを茹でているときに、
チャイムが鳴り不意に届けられる手荷物のように。
人の言葉を借りれば、青春と口にしたとき青春は終わるだとか、
青春など初めからあるはずも無いと言うが、
それは結局、自分の中で何かが終わるのを感じた時なのだというのが、
最もしっくりするような気がする。
ディラムセモリナ、ディラムセモリナ。
私は丁寧に包まれた小さな箱を開ける。
もちろん中身は何も入っていないと知りながら。
フライパンにオリーブ油を敷き、刻んだニンニクと唐辛子を炒める。
私は丁寧に包まれた小さな箱を開ける。
空は晴天、雲ひとつないうららかな真昼。
腰の強い1.9ミリの麺を指でつまんで齧る。
ホールトマトを投入し、塩と胡椒をひとふり。
そして私は丁寧に包まれた小さな箱を開ける。